発泡剤を使って得られるものは、「フォーム(Foam)製品」と呼ばれますが、このFoamには「泡・泡沫」のほかに「固体または液体中に泡が分散した状態」という意味が含まれています。実は私たちの身近にも、後者のFoamはかなりたくさんあります。たとえば自然界には、軽石、海綿やヘチマなどがありますし、食品にもパン、ビール、高野豆腐、アイスクリーム、岩おこし・・・と数え切れないくらいあるのです。
天然物質に替わるものとして、たとえば木材から合成木材、綿ブトンからウレタンフォームマットレス、革から合成皮革・・・という具合にプラスチックに発泡技術をプラスして作られるものもけっこう多いんです。これがプラスチックフォームで、永和化成工業はそうした多様な製品を造るのに欠かせない発泡剤の専門メーカーというわけです。
この7つの方法の中でも、もっとも柔軟に、注文通りに成形できるのが❶の「発泡剤を使う」ことなのです。
発泡剤を加えるとゴムやプラスチックはどう変化する?
プラスチック製品の重さを変えずに厚みを増やすことも発泡剤の得意技。製品の強さ(剛性)は、厚さの3乗に比例します。軽くて強いものづくりには最適です。
固体の材料は、温度差があると熱伝導によって熱移動を起こしますが、発泡剤を使って作られたプラスチックフォームだと熱伝導性はグ~ンと小さくなります。
衝撃エネルギーを吸収し、人や物を守るいろいろな製品づくりに役立っています。
プラスチックフォームの中でもポリエチレンやポリウレタンなどは、大きな浮力を持ち、この性質を生かした製品づくりが可能です。
プラスチックフォームは圧縮しやすく、しかもほどよい反発力があります。この性質も発泡剤のおかげ。
プラスチックの内部に気泡を含ませると、誘電率を下げることができます。
プラスチックフォーム以外にも、燻煙剤として発泡剤が分解したときの煙の拡散作用を利用して、有効成分を部屋の隅々までいきわたらせることができます。
材料の使用量を減らすことにより、材料費を削減し環境負荷を低減することができます。
運動エネルギーを熱エネルギーに変換できれば防音・制振機能が付加できます。一般的に独立気泡発泡体であれば遮音、連続気泡発泡体であれば吸音と、気泡の形成状態によって機能を選択することが可能です。
永和化成工業は設立以来、「軽くしたい」「クッション性を出したい」「水に浮かぶ物が欲しい」「デザイン的に立体感のあるものを作りたい」・・・といったお客様からのご要望に、発泡剤専業の技術開発力でお応えしてきました。そして、この基本姿勢は今後とも変わることはありません。 ここ数年は、お客様からのご要望もさらにレベルが高くなってきています。今まで発泡実績のなかった素材を膨らませたいとのご要望も頂きます。たとえば生分解性プラスチック。生分解性プラスチックは環境中の微生物によって分解され、環境汚染の少ない環境にやさしいプラスチックと呼ばれています。プラスチックによる海洋汚染が社会問題になる中、生分解性プラスチックを発泡させることは、お客様のニーズを満たすだけでなく社会問題の解決にもつながります。 お客様と社会の要請に応える発泡剤を開発することで、社会的責任を果たすと同時に発泡剤の可能性をも膨らむと考えています。
お客様からのニーズは、新製品開発に果たす発泡剤の役割の大きさと、その発泡剤開発でパイオニア的な役割を果たし続けてきた当社への期待の大きさを証明するものともいえます。この無限の可能性を秘めた発泡剤の開発ノウハウをもとに、当社はお客様と2人3脚で共同研究を進め、新製品開発に寄与したいと考えています。
発泡剤=発泡スチロールじゃありません
「発泡剤メーカー」というと、「知ってる、知ってる。発泡スチロールを作ってる会社だろ?」という反応をよくいただきますが、実は発泡スチロールは、ポリスチレン(PS)を発泡した”発泡体”の一種なのです。永和化成工業が製造している”発泡剤”は、ゴムやプラスチックなどの高分子(ポリマー)に他の配合剤と一緒に加え、加熱分解して発生した窒素ガス・炭酸ガス・一酸化炭素、アンモニアガス、水蒸気などを包含させることで細胞構造を形成するための薬剤なのです。発泡させることで様々な新しい機能を付与する「陰の主役」というわけです。